外反母趾の症状と言って真っ先に思い浮かぶのは、「痛み」と「変形」でしょう。
確かに痛いと歩くのすら嫌になりますし、変形したことにより見た目や靴選びに困ることはあるでしょう。
しかし実は、外反母趾によって起こる問題はそれらにとどまらず、とても広い範囲に及ぶのです。
ここではそれら「それと気づいていないもの」も含めた「外反母趾の症状」についてお伝えしていきます。
外反母趾とはどんな状態のことか
まず外反母趾とは、親指の付け根辺りが横に広がり、出っ張ってしまった状態。
痛みは出ない方もおられます(痛みは無くても、その影響はあちこちに出ているので要注意です)
あなたが外反母趾かどうか、またその程度については以下の様なチェックでわかります。
外反母趾の基準とセルフチェック
外反母趾の症状
外反母趾の症状として、真っ先に挙げられるのは足の「変形」と、患部の「痛み」ではないでしょうか。
まずは、これらの一般的によく知られた症状についてをお伝えします。
変形
変形自体を外反母趾というので、症状としては当たり前ですが、詳しく整理しておきます。
真ん中が外反母趾です。
親指の先の向きにばかり目が行きがちですが、絵の様に親指の付け根が横に広がっていることが問題の始まりであり、本質。
このことが後ほどお伝えする「その他の様々な症状」の基となっています。
親指の先は向きこそ変わってしまっているものの、位置は変わっていないのがわかります。
よって本来治療は指先を広げることではなく、親指の付け根を元に戻すこと、になるはずです。
痛み
もう一つの代表的な症状です。
痛みはというものは主観的なものなので、それだけで程度を測る目安にはしにくくはあります。
しかしもちろん、あれば問題であることは間違いありません。
私たちはその程度として、靴を履いている時にある「摩擦の痛み」と、靴を脱いでも痛い「関節炎の痛み」に分けており、後者の方がより悪い状態であるとしています。
その他の外反母趾による症状
「変形」と「痛み」は、皆さんもよく知るわかりやすい問題ですが、外反母趾による症状はそれだけにはとどまりません。
それは外反母趾が、足の骨の結合が緩んでしまったグラグラ状態であるということと、しかも体の一番下で全身を支えるという場所であるということから、全身に影響が及びやすいからです。
なので実は今あなたがお悩みのその症状が、実は外反母趾由来であるという可能性も。
ここではそれを詳しくお伝えしていきます。
偏平足(膝・股関節・腰・首の痛み)
外反母趾はその発生の仕組み上、ほぼ必ず偏平足も併発するようになっています。
土踏まずは衝撃吸収を受け持っているので、ここを活用できていないということは、その分膝や股関節、腰や首などのダメージが大きくなります。
長年続けば、それが膝や股関節の痛み、首や腰のヘルニアの要因になっていることはよくあること。
お医者さんは「長年体を使っていれば、、、」という言い方をする方もおられますが、車に例えると丁寧に乗っているか雑に乗っているかで、状態に差がつくのと同じ。
浮指
浮指は「指を使わないからなる」と思っておられる方も多いようですが、これは正しくありません。
外反母趾はその発生の仕組み上「偏平足」にもなるとお伝えしましたが、偏平足と浮指はセット。
写真の様に、土踏まずのある足はその分、指の位置が「下がってくる」。
それに対して土踏まずが下がるとその分、指の位置が「浮いてしまう」ということ。
そして指は位置的に下がってくると、機能しにくくなってしまい、踏ん張りがききにくくなるのです。
巻き爪・魚の目・タコ
「外反母趾」「偏平足」「浮指」これらはどれも足が踏ん張りにくく、安定しない状態。
それにより、安定のために足には常に力を入れた毎日を過ごすことに。
それが魚の目やタコ、また巻き爪の原因にまでなるのです。
足がすぐ疲れる・重い・むくむ
それだけ本来は必要のない力を入れて踏ん張って、立っていたり歩いていたりすると、足はすぐに疲れるようになります。
足が疲れてむくみ重くなるだけではなく、そのことによる常時疲労状態が、集中力の欠如にまでつながっていきます。
脚が太くなる
本来必要のないところに力を入れている毎日を過ごすことで、必要のない個所を鍛えているのと同じことになってしまっています。
特に太ももの前側がパンパンに張り、そこが特に発達してしまっていくことに。
それに対してお尻は垂れて下がり、ふとももとの境目が無くなっていってしまいます。
姿勢が悪い(反り腰・猫背)
足の不安定のバランスを全身で取ろうとすることを、専門的には「代償」といいます。
多くの場合胸を過剰にそらし「反り腰」になり、それとセットであごを過剰に引きストレートネック気味に。
これが慢性的な腰痛と肩こりの原因になっている方は、とても多いです。
外反母趾の「正しい改善」とは
もしこれらの症状にいくつか心当たりがあれば、それらは外反母趾由来である可能性が。
しかし悲観しなくても大丈夫です。
ということは、外反母趾を正しく改善できれば、それらの症状も一網打尽にできるということにほかなりません。
しかし重要なのは「正しく」改善するということ。
では外反母趾の「正しい改善」とは、いったいどういうことでしょうか?
外反母趾の「間違った改善法」とは
外反母趾の改善に「正しい」やり方と「間違った」やり方があるのか?
実はそれがあることが、最近分かってきたのです。
従来は「いかに曲がった足の親指を広げるか」、ということにばかり注目してきました。
しかしそれでは、元には戻らない「間違った」治療法だったのです。
もう一度、先ほどの絵をご覧ください。
真ん中が外反母趾ですが、もしこの足の親指を広げにかかると、どうなってしまうか。
それが右の絵です。
確かに指は広がって真っ直ぐにはなっていますが、足の骨の間は広がったまま。
これで治ったと呼べるでしょうか?
このような治し方をしてしまうと、一見形は整っているように見えても、足のぐらぐら・不安定状態はそのまま。
それどころか改善状態は一時だけで、すぐに前以上の状態に戻ってしまうのです。
正しく治せば、横幅も締まる(改善例)
足の横幅が締まって治る、そんな治し方ができるのでしょうか?
こちらをご覧ください。
この女性は右足が6ミリ、左足は11ミリも締まって小さくなっています。
この女性も右足は10ミリ、左足は9ミリも締まって細くなっています。
もちろんそれに伴いどちらの方も、外反母趾の角度も中程度後半が正常値手前まで、大幅に改善しています。
こういう治り方をすれば、足は骨の結合が密になり丈夫で安定。
しかも横幅が細くなっているので、靴を選ぶのも楽になります。
ではこのような「横幅が締まる」という治り方は、どのようにすればできるのでしょうか。
どうすれば横幅が締まって治るのか
横幅が締まることが必要だとわかったからと言って、テーピングやサポーターや包帯などで、締めればよいという訳ではありません。
そのようなやり方をしてしまっても効果が無いばかりか、逆に痛みが出る場合が多いのです。
なぜなら、それは原因無視の強引なやり方だから。
何にでも原因があるように、足の親指の骨が緩み横に広がった原因というものもあるのです。
その原因をきちんと把握し、それに対する対策を打つからこそ元に戻る。
ではその足の骨が緩んだ原因とは何か。
それはあなたの良くない歩き方、患部に負担のかかる歩き方なのです。
歩き方を改善すれば、横幅はどんどん締まる
外反母趾の原因を、いまだにハイヒールや遺伝や足指が弱ったせいだと思っておられる方は、意外に多くおられます。
しかしハイヒールを履かない方や男性もなりますし、進行していくことからも生まれつきの素養だけ、が原因ではないこともわかります。
また足指をよく使うアスリートにも多く見られ、これらでは説明のつかないことから、もっと核心的な原因があることが想像できます。
そして実は外反母趾はその想像通り、あなたの良くない歩き方が原因だと明らかになっているのです。
足の医療は進んでいる国とそうでない国があり、日本は実は後者に分類されるのです。
足の医療の進んだ国では、すでに明らか
足の医療の進んだ国では、専門のカリキュラムを修めた足専門医が存在しています。
そしてそのような専門医の間では外反母趾は、「過剰回内(オーバープロネーション)」というよくない足の使い方が主原因だと、すでに広く知られているのです。
ということは、外反母趾はその良くない歩き方をやっている限りは、どんな対策を取ろうがいつまでも続く。
逆にその問題の歩き方を正すことができれば、それこそが根本的な改善をもたらすということになるのです。
それが本当なのか、そんな歩き方の改善ぐらいで本当に外反母趾が治るのか。
その答えが先ほどの改善例ということです。
あれだけの改善をもたらすのに、私は足の指には触れてすらいません。
あのような改善例は珍しくなく、公開許可を得ているだけでも1000例以上保有しております。
まとめ
外反母趾の症状は、痛みと変形だけではありません。
足の骨が緩んでしまうことによる足元の不安定が、全身の様々な症状にまでつながっていってしまっているのです。
それは私たちが従来からある「指を広げる」という治療法ではなく、「歩き方を改善する」という治療法の結果、足の横幅が締まりそれらの症状も同時に改善していったということで、その関係が明らかになってきました。
あなたも歩き方を正す「正しい改善法」をすることで、今お悩みの症状をすべて一気に解消できるかもしれないということ。
まずは今一度、あなたのからだに起きている症状を洗い出すところから、始めてみてはいかがでしょうか?