外反母趾でお悩みの方は、改善のための様々な情報が欲しいもの。
昔であれば、人づての口コミなどしか無かったものの、現在はネット全盛の時代。
「治った」「良かった」などの情報を、ブログなどで得ようとする方が多いでしょう。
それらの情報はどれぐらい信頼性があるのか、またその見分け方などを、専門家の立場からお教えします。
その外反母趾情報ブログは、誰が書いているのか?
まずそのサイトの情報発信者が、何らかの関係者の立場かどうか、というのは一つのカギになります。
何を指して関係者かというと、書いている方ご自身が外反母趾か、私の様にそれを治す治療家側かのどちらか、ということ。
関係者でない方が外反母趾グッズを紹介していたり、手術についてを解説しているサイトやブログがありますが、伝える情報の内容は薄く、一般論の域を出ません。
そんなブログやサイトはそれを理解しておいて、「ああこんなグッズがあるんだ」という情報収集程度に使うのなら良いでしょう。
それに対して、ご自分が外反母趾でその体験をつづっていたり、治療の現場を持っていてその経験上の話を語っているのは、一定の裏付けがあると言えるでしょう。
治療家や外反母趾患者のブログ・サイト
次に外反母趾患者の側か、治療側の立場のブログやサイトのその中で、信頼性の高いものかどうかの見分け方です。
大抵の場合改善した、していないなどの結果の写真が載っていると思いますが、その写真の見方にポイントがあります。
外反母趾は、親指が広がっては治らない
ポイントは、その治ったという写真の足の形です。
「こんなに指が広がりました」と言う風に、親指と人差し指の間が開いて真っ直ぐになった写真が、良く上がっています。
しかし残念ながら、これは本当には治ってはいません。
なぜなら、外反母趾は「指が広がって治る」という事は無いからです。
実は外反母趾と言うのは「親指が内に曲がって発生した病気」ではありません。
「親指の付け根が外に広がって、結果、親指が内を向いた病気」です。
同じことなんじゃないの?
実はこの二つは、全然違います。
左の絵が正常、真ん中が外反母趾です。
外反母趾は真ん中の絵の様に、親指の付け根が横に広がった結果、親指の向きが内向きになっています。
ということは、親指の付け根が締まって横幅が細くならないと、元の形に戻った、治ったとは言えません。
もし右の絵の様に、親指の付け根が横に広がったままで、親指だけ広げて真っ直ぐにしたとすれば、足の横幅は変わっていないことになります。
なら足の横(親指の付け根)が、靴に当たって痛くなっている方はどうでしょう。
横幅がそのままなのに、当たらなくなるわけはありません。
しかも外反母趾と言うのは、横幅が広がったせいで足の骨同士に隙間ができ、グラグラになっている病気でもあります。
なので悪化すればするほど、足は不安定になっていきます。
指を広げて治ったとした場合、このグラグラは解消せず、そのまま残ってしまうことになるのです。
そしてこのことは、外反母趾手術での改善でも同じことが言えます。
手術での改善は術式にもよりますが、基本的に親指の骨を切って真っ直ぐの向きに付け替えるというやりかた。
なので親指の向き的には整いますが、横幅は締まっていないので、手術後の足の機能や強度は必ず落ちることになります。
(なので私的にはこの場合、「治る」というより「整う」という言い方をします。)
そしてこのことは、お医者さんは基本的にはご存じであり、それもあって手術を積極的には勧めないようです。
外反母趾は、地面と空中では形が違う
そして次に、それらの写真で注意して見てもらいたいのは、足を地面につけて撮っている写真以外は、全て信頼性がありません。
外反母趾は、足に体重がかかっている時と体重がかかっていない時では、その角度の出具合は全然違います。
もしあなたが外反母趾なら、ご自分の足をその二つの状態で見比べていただくと、すぐにわかります。
当然、加重した時の方が角度は広がります。
足はずっと空中で使うわけではありませんし、痛みや形が問題になっているのも地に足をつけている時のはず。
なので足を空中に浮かせた状態で改善写真を撮っていても、それは本当に改善したのかどうかは判断がつかないのです。
地面に足をつけて、正確には立った状態でなければ、本当のことはわからないということ。
先ほどの「改善した形」と、この「空中の写真かどうか」の二つのポイントは、ブログの体験談だけに使える判断基準ではありません。
治療院などの改善例でも、同じ見方ができます。
これらの写真を挙げておられる外反母趾患者さんや、治療家のブログやサイトも、悪意があるわけではないことが殆どです。
「本当に治った状態」とはどういうものかをご存じないために、こんなことになってしまっているのです。
どのタイミングで撮った写真か
そして最後のポイントは、その写真をいつ撮ったかと言うことです。
たとえ横が締まって真っ直ぐになっていたとしても、そのきれいな形が道具を使っている最中や、治療の直後では意味がないのです。
例えば肩こりで言うと、揉んでもらった直後に柔らかいのは当たり前。
その一時の改善を「肩こりが治った」するのであれば、外反母趾も治療直後にまっすぐになっているの「治った」と言って良いのかもしれません。
しかし肩こりが揉んだ直後はやらかくても、その後すぐに元に戻るのと同じで、外反母趾もその可能性は十分にあるのです。
もしそれなら、ずっとその治療院に行き続けたり、道具を使い続けなければ維持できないことになります。
これを治ったと呼んで良いのでしょうか?
私はそれを、治ったと分類してはいません。
なので治療後もしくは道具を使わなくなった後、一カ月間経ってどうなったのか、三カ月後どうなのか、一年後どうなのかというところが、等がポイントになります。
ブログやサイトの改善記事や写真が、治療後一カ月後でこれぐらいです、一年後でこれぐらいです等に言及していれば、それは信頼性の高い情報といえるでしょう。
本当に改善した場合の改善写真
横幅が締まった結果出っ張りが改善し、しかもそれが最低でも一ヵ月後もその状態である。
そんな治り方が本当にできるものなのか。
そう思われる方もおられるかと思い、いくつか改善例を挙げてみます。
これらは多くの大学病院でも使用しているフットルックという、信頼性の高い計測器のデータです。
スキャナーの上に立ってもらい、下から測定するやり方です。
特に左足は重度(40度以上)間近の外反母趾だったのが、正常値(14度以下)一歩手前まで大幅に改善。
横幅も1センチ以上も小さくなっています。
この方の場合ご高齢で、時間はかかっているものの大幅に改善。中程度後半だった外反母趾が、同じく正常値一歩手前までになっています。
治療に際して、全身の骨格の矯正は行いましたが、足指には一切触れていません(2人目の例の方は、骨格の矯正も行っていません)
そしてこの改善後の結果測定は、最後に診せていただいてから一カ月以上経ってからお越しいただき、指導も矯正も何もしない状態ですぐに撮影したもの。
私たちの最後の測定の基準は、一カ月以上放っておいてどうなっているか。
なのでそのような条件で最後の測定をするのですが、それでこれぐらいの改善は維持しているのです。
また写真の改善例の様に症状が重くとも、ご年配の方でも大丈夫。
リウマチを併発している方や、杖をついている方でも、症状はいくらかは改善していっておられます。
このような改善例は私たちにとっては珍しくなく、公開許可のあるものだけで1000例以上所有しているのです。
まとめ
ブログなどの記事を見る時、本当に改善したかどうかのポイントは、
①横幅が締まっているか
②写真は立って体重がかかった状態か
③治療後やグッズ使用後すぐの写真ではないものか[
になります。
これらのポイントに気を付けて、情報収集してみてください。