外反母趾で辛い思いをしている方の中には「何でなってしまったんだろう」と、疑問に思っておられる方も多いのではないでしょうか。
ハイヒール等をあまり履かなかった方や、男性などであればなおさらでしょう。
実は外反母趾の原因は、ハイヒールなどではありません。
このページではその外反母趾の「本当の原因」について、詳しく解説していきます。
あなたがこのページを読み終えた後には、原因をしっかりと理解し、改善への道筋が明確になっていることでしょう。
原因がわからなければ、適切な対策は取れない
すでにご自覚のある方はその痛みや形を何とかしようと、テーピングやサポーターや足ゆびトレーニングなど、様々な対策を取っておられることでしょう。
しかしちょっと待ってください。
その様々な対策に取り組む前にそもそも、あなたは外反母趾の原因をご理解しておられますか?
「指が曲がった」「だから真っ直ぐにしよう」と、あまり深く考えもせず対策に取り掛かってはいませんか?
確かに世の中全体がそんな感じなので、あなたがそうだとしても無理はありません。
しかし原因もよくわかっていないのに、正しい対策が打てるものなのでしょうか?
それは例えば「てんかん」と言う脳に原因のある病気とわからずに、発作で暴れる患者に一生懸命悪魔祓いをしているのと、大差ありません。
どんな病気でもあなたが本当に改善を望むなら、原因から知ることが重要なはずです。
外反母趾に対するよくある誤解
ではあなたは、外反母趾は何が原因だと考えていますか?
ここではまずよくある誤解や間違いについて、ご説明します。
ハイヒールが主原因ではない
まず外反母趾の主原因は、「ハイヒール」ではありません。
もしハイヒールなのであれば、履かない方や男性にも見られることの説明がつきません。
外反母趾は裸足ので生活する民族の方の中にも、発生しているぐらいです。
遺伝で決まっているわけではない
遺伝や生まれつきの素養が主原因だ、と仰る方もおられます。
これは関係なくはないですが、それが決定的な原因という訳ではありません。
外反母趾は年々進行していく方が殆どであることからも、元の素養以外の「日々の生活の中」に、原因があるということは明らかです。
足指を使っていないから、ではない
足指を使わない生活で退化し弱っているから、というのもつじつまが合いません。
例えば元フィギアスケート選手の八木沼純子さんは、ご自身のブログで外反母趾の治療経過を挙げておられます。
フィギアスケートをしていて、足指を使わないなんてことはありませんし、その他のプロスポーツ選手にも外反母趾は多くみられます。
先に例を出した裸足で生活する民族の方でも同じことが言えるでしょうし、実際に足指を鍛えても治ることはありません。
本当の原因は別にある。そしてそれはすでに明らか。
このように一つ一つを冷静に検証してみると、どの原因も全く関係していないという訳ではないものの、矛盾する点が見つかります。
ということは、何となくそんな風に思っていたと言う程度のものばかりで、それらが決定的な、本当の原因ではないということ。
では外反母趾の本当の原因とは、いったい何なのでしょうか?
未だ明らかになっていないのかというと、実はそうではありません。
残念ながら足の医療に関しては日本は遅れをとっており、そのせいで正しく広まっていないだけ。
足の医療の進んだ国では、外反母趾は実は「良くない足の使い方・歩き方が原因」だと、すでに明らかになっているのです。
足の医療の進んだ国と、そうでない国
日本は主要先進国の一員なので、医療も全て最先端のものを受けられていると思いがちですが、実はそういう訳ではありません。
やはり力を入れている分野と、そうでない分野があるのです。
足の医療が進んでいる国々では、足の医療を学ぶ専門の大学があり、多くの医師が専門性を持つために、そこで学んでいます。
そしてそこで一定のカリキュラムを修めた先生が、「足病医」と言う認定資格を持ち、活躍しているのです。
しかし残念ながら日本には、このような教育機関も制度もなく、この分野を個人的に勉強している整形外科の先生が、わずかにおられるだけというのが現状。
それに比べ例えばアメリカでは、そのような認定足病医が13000人以上活躍しています。
そしてそれら足の医療の先進国の中では、外反母趾は「良くない足の使い方・歩き方が原因」だと広く知られています。
もっと詳しく言えば、「過剰回内(オーバープロネーション)」と言う、良くない足の使い方が主原因だと知られているのです。
外反母趾の本当の原因とは
外反母趾の主原因がハイヒールなどではないこと。
日本は足の医療で後れを取っていること。
足の医療の進んだ国では「よくない歩き方」が主原因だと明らかになっていること。
どれも驚きだった方もおられるでしょう。
ここではその問題の歩き方である「過剰回内(オーバープロネーション)」について、わかりやすくお伝えしていきますが、それにはまず歩くときの足の骨の動きについて、知っていただく必要があります。
「しっかり足」と「ぐらぐら足」
実は人間の足は歩いている時に、ずっと同じ形をしている訳ではありません。
大きく分けると、2つの形を行ったり来たりしながら歩いているのです。
一つ目の形は、皆さんがよくご存知の状態。
この形では土踏まずがあって、足の骨と骨の間が密に締まった状態。
これを専門的には回外(スピネーション)というのですが、ここでは簡単に「しっかり足」と呼ぶことにします。
そしてもう一つは土踏まずが落ちて、足の骨と骨が緩んでぐらぐらになった状態。
こちらも正式には回内(プロネーション)というのですが、ここでは「ぐらぐら足」と呼ぶことにします。
この2つの形は、どちらが良くてどちらが悪いというものではありません。
どちらも必要なのですが、使う場面や用途が違うのです。
体を支えるためには「しっかり足」が適しています。
しかし歩くときにずっと「しっかり足」のままでは、着地の時の衝撃が膝や股関節に直通になってしまい、早く痛んでしまいます。
なので着地の瞬間にはその衝撃を吸収するため、足はあなたが考えなくても自然に「ぐらぐら足」の形に移行しているのです。
なのでぐらぐら足はわかりやすく言えば、「着地の時にだけ使う、衝撃吸収のためだけの足」ということ。
そして着地が終わった瞬間から、足はすぐに「しっかり足」に戻る。
私たちが歩いている時に、足の骨はこのような動きを繰り返しているのです。
外反母趾発生の仕組み
これを踏まえて、外反母趾はなぜ発生するかをご説明します。
本来「しっかり足⇔ぐらぐら足」を交互に繰り返しながら歩いていたものが、様々な原因で「ぐらぐら足オンリー」で歩く癖になってしまっている方がおられるのです。
「ぐらぐら足」は着地の時の衝撃吸収用の足。
そのため緩んだ骨格状態なので、支える力は強くありません。
それを常時使っていると元々緩んだ状態なのが、更に緩んで横に伸びていってしまいます。
そうやって親指の付け根付近が横に伸びた結果、相対的に親指は内向きになっていくことに。
平たく言えば「ぐらぐら足(回内)は着地の時だけでいいのに、ずっと(過剰に)ぐらぐら足しっぱなしで歩いていたから、筋肉やじん帯で支え切れないほど骨格が緩んで伸びてしまって、親指は内向いたよ」ってこと。
ご理解いただけましたでしょうか?
これが外反母趾の発生原因で、専門的には過剰回内(オーバープロネーション)といいます。
この「しっかり足⇔ぐらぐら足」の仕組みや、外反母趾発生のメカニズムは、別に私が見つけ出した特別な説ではありません。
アメリカなどの足の医療の発達した国では、実はごくごく当たり前の話。
実は足病医学の基礎中の基礎なのです。
そしてこの過剰回内(オーバープロネーション)をベースに、前足部(特に母指球辺り)で強く地面を蹴る動き(専門的にはアブダクトリーツイストと言います)を伴うことで、外反母趾は発生するのです。
そこまでわかっていて、なぜまだ外反母趾を治せないのか
いかがでしょうか。
外反母趾の本当の原因は、このように足病医学的に明らかなのです。
これがわかっていれば、どんな対策やグッズや治療が効果があり、またその逆に的を得ていなかったり逆効果かが、見えてきます。
結論から言ってしまうと、問題が歩き方だとすれば、改善のために必要なものもまた歩き方。当たり前の話です。
ではなぜそれが世の中に広まっていないのでしょうか?
まずこの過剰回内(オーバープロネーション)という足の使い方が問題だと、わかっていない。
次に分かったとしても、必要になるのは歩き方の改善ですが、それを確立している人がいない。
ここでいう確立とは、どんな歩き方をどれぐらいのレベルでできる様になり、どのぐらいの期間続ければどれぐらいまで改善するか、ということです。
そのためには時間や費用、正確な計測のための機器、一人二人の例ではわからないので、協力してくださる多くの患者さんが必要になります。
それをしたとしても、今の医療制度では保険も適用されず、たくさん儲けられる流れではありません。
などの理由で、この分野に踏み込む方がおられなかったのです。
私も外反母趾が過剰回内(オーバープロネーション)が原因だと知ったとき、同じ問題に直面しました。
しかし私は自分が足に問題を抱えていたこともあり、ライフワークとしてこの問題に取り組むことを決意しました。
新たに出会った足病医学のセオリーから見れば、歩行時のそれぞれのタイミングでどんな骨の状態になっているべきかはわかります。
それをもとに全身の動きを検証し、歩くという動き全体を組み立てます。
そしてそれを外反母趾患者さんに試してもらいます。
やってすぐには変化が出ないので、数カ月続けてもらっては測定器で計測し確認。
これを何度も繰り返します。
私は医師ではありませんし、公的な補助金や研究費は当然出ません。
それでもこのようなプロセスを気の遠くなるほど繰り返し、その末にやっとたどり着いたのです。
「ゆるかかと歩き」と名付けた、外反母趾が改善する歩き方に。
この歩き方が、どれほどの外反母趾の改善をもたらすのでしょうか。
本当に歩き方で外反母趾は改善するのか?
まずこの歩き方ができる様になれば、痛みは早々に無くなります。
よっぽど痛みが強い方でない限り、習得した時点で痛みは感じなくなります。
痛みがとても強い方でも、数日~数週間もすれば皆さん無くなっています。
痛みが無くなるかどうかは、他の病気を併発しているなどのごく特殊な場合を除き、ほぼ全員と言ってよいでしょう。
実際の改善例(測定写真)
そして出っ張った角度はもちろんですが、足の横幅まで細くなります。
本当かな?と思われる方もおられるかと思い、いくつか改善例を挙げてみます。
これらは多くの大学病院でも使用しているフットルックという、信頼性の高い計測器のデータです。
特に左足は重度(40度以上)間近の外反母趾だったのが、正常値(14度以下)一歩手前まで大幅に改善。
横幅も1センチ以上も小さくなっています。
この方の場合ご高齢で、時間はかかっているものの大幅に改善。中程度後半だった外反母趾が、同じく正常値一歩手前までになっています。
治療に際して、全身の骨格の矯正は行いましたが、足指には一切触れていません(2人目の例の方は、骨格の矯正も行っていません)
基本的に歩き方のみでの改善です。
そしてこの改善後の結果測定は、最後に診せていただいてから一カ月以上経ってからお越しいただき、指導も矯正も何もしない状態ですぐに撮影したもの。
私たちの最後の測定の基準は、一カ月以上放っておいてどうなっているか。
なのでそのような条件で最後の測定をするのですが、それでこれぐらいの改善は維持しているのです。
そしてその状態は歩き方を維持している限り、一年後でも三年後でも大丈夫です。
また写真の改善例の様に症状が重くとも、ご年配の方でも大丈夫。
リウマチを併発している方や、杖をついている方でも、症状はいくらかは改善していっておられます。
このような改善例は私たちにとっては珍しくなく、公開許可のあるものだけで1000例以上所有しているのです。
これだけ大幅な改善が、歩き方の治すだけで得られるのは、それが外反母趾の根本原因だからなのです。
外反母趾を改善する歩き方(動画)
具体的にはどんな歩き方をすれば良いのでしょうか?
まずはその場で行進をするように、足踏みをしてみてください。
そしてその動きのまま、ゆっくり前に出てみてください。
いつもよりももを持ち上げるような、この歩き方でOKです。
「本当にこれだけで?」
「一般的に良いと言われている歩き方と、全然違うけど?」
よく言われますが、大丈夫です(笑)
私は治療の現場でもこれで成果を出していますし、足の骨格の仕組みから見てもこれで正解です。
正確には、これで過剰回内が完全に解消されたわけではありません。
しかしこの歩き方で、その基礎までができていることになります。
やってみると痛みのある方であれば、まずそもそも痛みが軽減していることに気づくはず。
続けていくことで、足の形までがどんどん変わっていくのです。
まとめ
外反母趾の主原因は、過剰回内(オーバープロネーション)という良くない歩き方で発生する生活習慣病。
これは実は足の医療の進んだ国では、広く知られた事実。
ということは、最も効果的な対策もまた「歩き方の改善」だということです。
しかし注意点は、歩き方にもいろいろあるということ。
残念ながら、一般的に良いとされている歩き方の多くが問題アリ。
私たちのお教えする歩き方が、このような結果につながっているのは、アメリカ足病医学をもとに考えられた、足にとって自然な歩き方だからなのです.