外反母趾を治すための手段として、夜寝ている時にするサポーターなどが売っています。
夜寝ている間に正しい位置に戻そうという狙いですが、どれぐらいの効果が期待できるのか、またそれに代わる方法についてお伝えします。
夜間の外反母趾ケアの種類
夜間の外反母趾ケアの種類は、大きく二つに分かれます。
指の間を、サポーターや装着具などで広げる
内に向いている親指を、比較的がっちりとした装具で外向きに固定し、眠りにつくというもの。
日中は靴を履くためや歩くためには、がっちりとした装具はつけることができません。
なので矯正力の強いがっちりとしたもので、しかも寝ている間という長時間開いておけば、その位置になるだろうというのが考え方のようです。
親指の付け根辺りを、包帯や緩めのサポーターで締める
広がってしまった親指の付け根辺りに包帯を巻き、その状態で眠るというもの。
包帯の代わりに緩めのサポーターを使う場合もあるようです。
緩んでしまった横の靭帯を引き締めたい、というのがその考え方のようです。
夜間ケアは効果があるのか?
専門家としてはっきり言うと、改善の効果はほぼありません。
それは後程ご説明する理論的にもそうですし、実践してみた結果的にもそうです。
むしろ痛くて寝られない、というケースがあるほどです。
なぜ効果がないと言い切れるのか。
それは外反母趾の発生の仕組みを知れば、すぐにご納得いただけると思います。
外反母趾は、足の指が内を向いて発生しているのではないから
殆どの皆さんが誤解していることですが、外反母趾は「親指が内を向いてなった病気」ではありません。
「親指の付け根付近が横に広がって、その結果足の指が内を向いた」病気です。
それって結局一緒のことじゃ?、と思うかもしれませんが、この二つは大きく違います。

左が正常、真ん中が外反母趾です。
真ん中の絵の様に親指が横に広がって、指先の位置はそのままだったから、相対的に内を向いてしまったということ。
ということは問題なのは、
①親指の付け根の位置
②親指の指先の向き
どちらでしょうか?
答えはもちろん①の親指の付け根の位置ですよね。
なのに右の絵の様に、内を向いた親指の先を外に向け広げてしまうと、足全体としては横幅が広がったままの状態。
これは治ったことになるのでしょうか?
実際に足の骨格は広がったままでゆるゆる。
見た目は整ったとしても、足元は不安定なままになってしまうのです。
そもそも横に広がったから靴に当たってしまっていたい方などは、横幅がそのままなら当たらなくなることはあり得ないですよね。
なので、指を広げるという外反母趾対策自体が、根本的に間違っているのです。
外反母趾は、夜間のケアでは治らない
では、指を広げない夜間ケアは効果があるのか?
これも本質からかけ離れた、あまり意味のない治療と言わざるを得ません。
外反母趾の原因が事故などのアクシデントであれば、安静にしていたり夜間のケアは効果が高いでしょう。
しかしそうではなく、外反母趾はあなたの良くない足の使い方・歩き方が原因で発生する生活習慣病です。
これはアメリカをはじめとした、足の医療の進んだ国では実はよく知られたこと。
過剰回内(オーバープロネーション)という、足の横幅を広げることになる歩き方が主原因だということは、明らかになっていることなのです。
ということは、外反母趾は言い換えれば生活習慣病。
あなたが日々良くない歩き方で歩くことで、作っているということになります。
明らかになっているその原因はそのままなのに、夜に形だけ整えて治っていくと思いますか?
もしそれでいくらかマシになったとしても、日中に足幅が広がるいつもの歩き方をすれば、じき元に戻っていくのは火を見るより明らかです。
これらの夜間のケアは、このように理論的にも無理があるだけではありません。
私は実際に何人かの患者さんに一定期間それぞれ試してもらい、定期的な計測などをした結果も踏まえてお伝えしています。
なぜこれらの対策が広まっているのか?

これらの効果がない、もしくは逆効果と言える対策が広まっているのは、なぜでしょうか?
①外反母趾の原因がわかっていない
外反母趾の主原因は過剰回内(オーバープロネーション)という、良くない足の使い方が原因であること自体、日本では未だあまり知られていません。
②形を治すことだけに囚われている
外反母趾の原因をあまり深く考えず、変形した形だけを何とかしようとするあまり、目立つ「内に向いた親指」だけを何とかしようとしてしまっているのが、現在の治療の主流になってしまっています。
③歩き方の修正は難しい
もし外反母趾は歩き方の問題だと気づいたとしても、どんな歩き方に戻せば治るのかについて、研究し実証しているものが見当たりません。
しかも今までクセづいた歩き方を治すのは、簡単とは言えません。
お医者さんにしても、それは「医療」というより「指導」という不慣れな分野。
やることの必要性を理解してもらい、やる気を引き出し、根気よく繰り返しその患者さんにわかる角度で説明し、できる様にまでするというのはお医者さんにとって、全くの畑違いの分野で違う能力が必要とされます。
しかも現状日本の医療のシステム上、それらの指導は手間はかかる割に儲かりはしません。
これらが理由で、外反母趾は効果的な対策が広まっておらず、形を元に戻すことに囚われた効果の上がらない治療がはびこっているのです。
本当に治したければ、原因から考えることが重要

私もアメリカ足病医学との出会いで、足の使い方に問題があることに気づきはしたものの、それをどういう歩き方に変えればいいかについては見当たらず、当初全く手探りでした。
しかし多くの患者さんに協力してもらい、機器による測定を繰り返し、足にとって自然な歩き方を言うものに辿り着くことができました。
その歩き方を習得することで、外反母趾は改善することができると言い切ることができます。
外反母趾は本当に歩き方で改善するのか?
外反母趾は本当に歩き方で改善するのでしょうか?
いくつかの症例を挙げてみます。
この方の場合は、左足は中程度後半だった外反母趾が、約4か月後には正常値一歩手前まで改善しています。足の横幅も、1センチ以上も小さくなっています。

この方は80歳を超える女性。時間はかかっていますが、それでもやはり中程度後半の外反母趾が、正常値手前まで改善しています。
これらの改善は、基本的に歩き方の改善でもたらされたもの。
足の指には一切触れてはおりません。
そしてこのような例は、公開許可をいただいているものだけで1000例以上もあり、私どもにとっては珍しくないのです。

まとめ
夜間の外反母趾ケアは、あなたの外反母趾を大きく変えることはまずありません。
なぜなら外反母趾は、日中のあなたの歩き方で発生しているもの。
それを変えない限り、本当の意味での改善はあり得ないのは当然です。
歩き方という真の原因の改善が必要になっているのです。
