外反母趾で悩む方の二大問題と言えば、変形した形と痛みでしょう。
特に痛みは、酷くなれば歩けなくなる程になるので、より差し迫った問題だといえます。
ここではそんな外反母趾の痛みのタイプ別の応急処置、さらには本質的な改善までをお伝えします。
外反母趾の痛みの2つのタイプ
まず外反母趾の痛みには、大きく分けて2つの種類があると考えてください。
一つは靴を履いているときにこすれて痛いだけで、靴を脱ぐと大丈夫な痛み。
摩擦によって起こっている痛みです。
そしてもう一つは、靴を履いていようがいまいが変わらず痛い痛みです。
摩擦の痛み
まず靴を履いている時にこすれて痛い、摩擦の痛みについて。
これは靴に関係なく痛い痛みよりは、まだ比較的軽い状態といえます。
今の足の状態と靴の幅が合っておらず、そして地面を強く蹴って歩く傾向の方にでやすい痛みです。
摩擦の痛みの、やってはいけない対策
この痛みが出た時に、多くの方がやってしまう間違った対策があります。
それは足の横が当たらないよう、横幅の広い靴を買ってしまうと言う対策。
これはできるだけ避けた方が良い対策です。
なぜなら足の横幅が広い靴を履くと、その分足全体としては靴の中でルーズになります。
そしてそのルーズさを無意識に調整しようと、歩き方はどんどん良くない方向に。
それがさらに外反母趾を悪化させるのです。
そうしてさらに足の横幅は更に広がり、また更に横の広い靴を探す。
この繰り返し。
最終的に足の横幅がこれ以上伸びない、と言うところまで悪くならない限り、どんどん靴の横幅を広げるしかなくなってしまうのです。
摩擦の痛みの応急処置
ではこの場合まず、その痛みの取りあえずの応急処置としてはどうするのが適切か。
薄い絆創膏貼って摩擦を軽減したり、その周りだけに当てる薄いサポーターなどで、摩擦を緩和します。
もしサポーターを使う場合、ご注意いただきたい点が二点。
一点目は、親指と人差し指を離そうと、間に詰め物の様なものがついているサポーターはしないこと。
外反母趾は親指が内に入ってきているというよりは、親指の付け根辺りが横に広がって、その結果親指が内を向いたというのが正しい表現。
この二つは同じことの様に見えて、かなりの違いがあります。
左が正常、真ん中が外反母趾です。
真ん中の絵の様に、親指の付け根辺りが広がっているのが問題であれば、右の絵の様に指を広げて治そうとすると、見た目は整ったように見えて実は、余計に症状を進行させることになります。
なので親指と人差し指の間に、何かを挟んで広げるというのは厳禁ということです。
そして注意点の二点目は、患部を保護するパッドができるだけ薄いものを選ぶこと。
これが分厚いと、余計に靴の横幅が必要になってしまうからです。
摩擦ではない、足自体の痛み
次にもう一つの、摩擦ではない方の痛みに対して。
これは靴の影響ではなく、足の関節や関節の周囲自体に炎症が起きており、それが痛みのもとになっています。
なので外反母趾としては摩擦の痛みより、症状は進んでしまっているといえます。
摩擦ではない痛みの、やってはいけない対策
この時にやってしまうとまずい対策として、親指の付け根の下あたりにクッションを入れてしまうと言うもの。
ハイヒールを履く方などが、その辺りにクッションを入れて履いているのを、たまに見かけます。
クッションを入れて、衝撃を緩めれば何とかなるのかもと思う気持ちは、わからないではありません。
しかし実はこれも全くの逆効果。
クッションを入れて当たりを柔らかくすると、その分足は不安定になり、その不安定をなんとかしようと、足に無駄な力が必要になります。
それがさらに痛みを大きくし、外反母趾自体も悪化させます。
摩擦ではない痛みの応急処置
このぐらいの症状になった方に、応急処置程度の簡単な処置は、実は殆どありません。
要するに、
摩擦ではない痛み=程度が進んでいる=応急処置の段階ではない
ということ。
強いて言えばつま先側に加重せず、踵だけで歩くようなイメージで歩くこと。
そしてその痛み自体の対策としては、靴を脱いだ後とにかくしっかりと冷やすこと。
起きている炎症をできるだけ早く抑えることで、患部の修復を早められます。
湿布などは、正直あまり効果がありません。表面がひんやりするする程度。
一番良いのは家に帰ってすぐ、氷水に足を二十分ぐらいつけること。
家事などでその時間が取れなければ、靴下を二枚履き、一枚目と二枚目の間にケーキを買った時などに入っている小さな冷凍保冷剤を入れて、冷やすと良いでしょう。
これなら冷やしながら動けます。
その場合も時間は、二十分ぐらいは冷やすことです。
そもそも痛み本当に悪者なのか。痛みの役割とは?
しかし痛みとは本来「そこに問題が起きている」「その問題を何とかしてよ」と言う、体からのお知らせのはずです。
要するに痛み自体が悪者、痛み自体が問題ではないということ。
ですから痛みだけを消しにかかっても、本当は意味のないことです。
ただの問題の先送り。
痛み止めの薬を飲んでも原因は解消されておらず、薬が切れるとまた痛くなるのと、大きな意味では同じこと。
必ず先に大きな問題になって、それはまたやってくるのです。
そしてそれは外反母趾の痛みも、同じことが言えます。
そうやってどんどん状態を酷くしてしまう方が、後を絶ちません。
なので応急処置はしつつも、それはあくまで我慢できない痛みに対しての応急の処置。
同時にいち早く本質的な解決、原因の解消に取り掛からなくてはいけません。
では外反母趾の痛みの原因、もっと言えば外反母趾の原因とは、何なのでしょうか?
外反母趾の痛みの原因
先程の2つの痛みの種類は、その程度が違うだけで問題の本質は実は同じ。
痛みを引き起こしている原因は、実はあなたの足の使い方(歩き方)が良くないことにありるのです。
原因は、ハイヒールでも遺伝でもなかった!
外反母趾の原因は、ハイヒールのせいではありません。
ハイヒールを履かない方や男性はおろか、裸足の民族の方までなることからも明らかです。
遺伝も関係はしていますが、それが主な原因ではありません。
それはあなたの足の状態が、生まれた時からずっとそのままのではなく、どんどん進行していることからもわかるでしょう。
では外反母趾の原因は何なのか?
それは良くない足の使い方(歩き方)。
このことはアメリカなどの足の医療の先進国では、既に明らかになっている事。
具体的には過剰回内(オーバープロネーション)と言う足の使い方が、引き起こすものなのです。
なのでこの過剰回内という問題の歩き方を改善できれば、外反母趾の痛みが無くなるのはもちろん、出っ張りも小さくなり、外反母趾自体が改善していくのです。
痛みの出ない歩き方とは(動画)
具体的にはどんな歩き方をすれば良いのでしょうか?
まずはその場で行進をするように、足踏みをしてみてください。
そしてその動きのまま、ゆっくり前に出てみてください。
いつもより、ももを持ち上げるような、その歩き方でOKです。
「本当にこれだけで?」
「一般的に良いと言われている歩き方と、全然違うけど?」
よく言われますが、大丈夫です(笑)
私は治療の現場でもこれで成果を出していますし、足の骨格の仕組みから見てもこれで正解です。
これで過剰回内が完全に解消したわけではないのですが、そのための基本はできている状態で、これでもかなりの効果があります。
何故この歩き方で、痛みは治まるのか?
この歩き方は足指よりも、かかとをメインにして歩く仕組み。
外反母趾の方には、これが大きなポイントになります。
「足指を使わないから外反母趾になっている」と思っている方も多いようですが、そうではありません。
もしそれがその通りで、足指を鍛えれば治るのであれば、足指を酷使するハイヒールは、外反母趾に効果的なはず。
しかし、そうではないですよね。
体を横から見ればすぐにわかりますが、体の真下はかかと。
なので歩くときにもかかとを中心に歩くのが、骨格の構造上も自然で負担がないのです。
では足の前部分、指やつま先あたりを使うのはどんな場面か?
それは主にスピードを上げる時。具体的には走る時など。
そんな場合はつま先の方で地面を蹴ることが必要になります。
しかし歩くときには、それは過剰な動作。
実はこれも、外反母趾を作る原因の一つなのです。
なので外反母趾になっている方は、知らずのうちに「走る姿勢で歩いている」「走る動きで歩いている」とも言えるのです。
まとめ
応急処置は、あくまで緊急的な応急の対応。
本質的な改善の結果、痛みもなくなるというのを目指しましょう。
そのためにはとにかくまずは一度、この歩き方を試してみてください。
歩き方を変えるだけですから、お金もかかりませんしね。
痛みの変化に、驚かれることでしょう。