外反母趾は自分で治すときはともかく、治してもらう時には特に「どんな状態になれば治ったか」を、確認しておく必要があります。
治療を受ける側であるあなたと、治す側である治療者の間には、その認識のずれはよくあるもの。
これを確認しておかなければ、「もっときちんと治してもらえると思っていたのに」ということになりかねません。
このページでは、外反母趾はどんな状態になれば「治った」と言えるのか、その注意するポイントについて、詳しくお伝えしていきます。
治療院に行く前には、必ず読んでみてください。
外反母趾とはどんな状態のことか
まず外反母趾とはどんな状態か、についてから詳しく見ていきます。
まずはこちらの絵をご覧ください。
真ん中の絵が外反母趾ですが、親指の付け根辺りが横に広がり、出っ張ってしまった状態。
その結果親指は外を向き、酷くなれば第二趾(人差し指)の方に重なっていきます。
痛みは出ない方もおられます(痛みは無くても、その影響はあちこちに出ているので要注意です)
そしてあなたが外反母趾かどうかは、以下の様なチェックでわかります。
外反母趾の基準とセルフチェック
図にあるように、外反母趾は角度が基準となっています。
現在一般的な基準では、親指付け根の角度が15度を超えると外反母趾、ということになっています。
外反母趾が治ったかの基準
どこかの治療院に行って外反母趾を治療してもらうときには、「どこまで治してもらえるのか」「どんな状態にまで戻してもらえるのか」を予め確認しておくことが重要です。
痛み
痛みがある場合、痛みが無くなるかどうかというのは重要なポイントになります。
後ほど詳しく触れますが、痛みが無くなったかどうかも「施術後しばらくはまし」ではなく、恒久的に発生し無くならなくては治ったことになりません。
角度
外反母趾の基準は角度である以上、角度が15度を切るかどうかが治ったかどうかの基準になります。
元の角度が重度に近いほど酷ければ、15度を切るのは難しいかもしれません。
しかし少なくとも何度かは減少していなければ、「良くなってもいない」ということになります。
なので、まず最初に角度の測定は必須。
その治療院が角度の測定を行わない時点で、専門的ではないか、改善の自信が無いということになり、あまり期待できないでしょう。
もし角度を測定してもらえない治療院に通う場合、ご自身でスマホで測定できる無料WEBサービスがあります。
正確さは多少下がりますが、通いながらコチラでご自身で確認するのも良いでしょう。
横幅
これは最近注目されている、新しい基準です。
先だってお伝えしたように、外反母趾は足の親指の付け根辺りの横幅が広がった結果、親指が外を向いた状態。
ということは、「治った」「元に戻った」と言えるのは、その広がった足の横幅が締まったかどうかも重要だということ。
実際の例でご説明します。
この方は中程度の外反母趾ですが、横幅を測ると、9.48センチでした。
指を広げて治して(?)みましたが、横幅は9.43センチで、ほとんど変わりません。
本当の意味では治っていないことがわかります。
正しい治し方をすると、横幅は8.14センチ!。
1センチ以上も締まって小さくなっています。
このように、指を強引に広げて「治った」というところもあるようですが、たとえそれで指は真っ直ぐに近く見え、角度は多少改善されていたとしても、到底「治った」「元に戻った」とは言えません。
ちなみにこの3つの状態を並べると、こんな感じ。
右が外反母趾、真ん中が指を広げた治し方、左は正しい治し方。
並べて見比べるとわかりやすいですが、左は指が真っ直ぐに近くなっているだけでなく、明らかに横幅が細くなっています。
足の横幅が広いままでは靴選びは依然難しいままなだけでなく、骨格のゆるみが足元の不安定を引き起こし、さらなる不調につながります。
なので足の横幅にも注目しましょう。
最初に横幅も測ってくれる治療院は安心ですが、そうでない場合はご自身で測るとよいでしょう。
私どもは通常機械で測定しますが、写真の様な簡易計測器(デジタルノギス)なら、ネットで1000円前後で手に入ります。
すぐに元に戻らないかどうか
これまで上げた「痛み」「角度」「横幅」といった基準が改善されれば良いですが、それが数日では意味がありません。
あなたが肩こりだったとして、揉んでもらった直後~数日ラクなのを「肩こりが治った」と言えますか?
それと同じです。
ということは、治療直後に測定をしても意味がないということ。
例えば治療受けた日の一カ月後や三か月後、半年後に計測したとしても、改善された良い状態が続いていれば、効果があったと言えるでしょう。
道具を必要としないかどうか
その良い状態をキープするのに、テーピングやサポーターや靴下など何らかのグッズを使わなければダメだとしたら、それは治った内には入らないでしょう。
以前私が見てびっくりしたのは、ある本で外反母趾の改善例を挙げていたのですが、ビフォー写真は裸足、アフター写真は靴下を履いたものが掲載されていました。
どう考えても「靴下で広げている」としか思えませんよね(笑)
道具に頼らず良い状態が維持できるかどうかは、大きな基準になります。
地面に足を付けた状態で、かどうか
これは当たり前の話ですが、足は地面に着けて使うものです(歩くときに浮くタイミングはありますが)。
なので足の状態の測定は、地面につけた状態でするべき。
空中では正確な症状は把握できません。
実際に今あなたが外反母趾なら、「立った状態」と座って足を上げ「空中に浮かせた状態」で、見比べてみてください。
「地面につけた状態」の方が、角度も横幅も良くないはず。
体重が乗ることで広がる圧力がかかるので、当然と言えば当然です。
なので足を空中に浮かせた状態で、写真を撮ったり測定をしたり角度や横幅を測っても、それはあまり意味の無いもの。
なのでこの辺りをわかっておられる治療院は、足の測定や撮影は地面で行っています。
まとめ
外反母趾が「治った」というのは、単に痛みが無くなったかどうかだけの話ではありません。
足の骨が横に広がり緩んでしまった状態なので、骨格が元の様に締まらない限り、痛み以外の症状は改善されず残ってしまうことになります。
なのでご自分で改善に取り組む場合はもちろん、治療院に行く場合はここで挙げたような基準をもとに、「いつまでに」「どれぐらいの状態まで」改善してもらえるのかをきちんと確認しておくことが、「良い治療院選び」と「納得のいく治療」につながります。