外反母趾にお悩みの方が手術を考える時、最も気にかかるのは「失敗したら」「上手くいかなかったら」と言うことではないでしょうか。
そんな方のためにここでは、外反母趾手術の成功や失敗について、詳しくお伝えしたいと思います。
外反母趾手術の失敗とは
外反母趾手術に対しての成功率というのは、残念ながら公に、明確に出ているものは見当たりたません。
理由としてはまず、そもそも足の医療の発達していない日本では、外反母趾手術自体がそれほど多く行われているわけでは無いから、というのがあげられます。
しかし手術の成功率自体は、年々向上はしているようです。
特に以前の手術は、足の伸びてしまった靭帯を引っ張って、形を修復する手術が主流だったようですが、今は親指の骨を途中で切って、その向きを変える手術が主流になっています。
この術式になってから、成功率はかなり高くなっているようです。
どんな状態が「成功」で、どんな状態が「失敗」か
ただ外反母趾手術の成功や失敗について考える時に、「何をもって成功」「どんな状態を成功」とするのかの確認が、まずそもそも必要でしょう。
これは外反母趾手術に限らず、どんな手術でも同じことが言えます。
そしてご注意いただきたいのは、「あなたの考える成功」と「お医者さんの考える成功」には、かなりの違いがある場合が多いです。
あなたの考える「成功」とは
例えばあなたが外反母趾で手術を受ける立場だとして、ご自分の足がどうなったら手術が成功だと考えますか。
人によっては「きれいに真っ直ぐ」じゃないとという方もおられれば、中には「真っ直ぐはもちろん、ハイヒールが履けるようになるまで」という方もおられるかもしれません。
そして勇気を出して、痛い思いをして手術をしたからには、それでもう再発はしない。
それぐらいを求める方が多いのではないでしょうか?
しかし実際には、そこまではかなり難しいといえます。
お医者さんの考える「成功」とは
元の外反母趾の状態にもよりますが、お医者さんの考える外反母趾の手術の成功は、多くの場合足の指の角度が、いくらかまっすぐに近くなったらと言うもの。
その後ハイヒールをはけるようになるまでになるかとか、ましてや再発しないかどうかは、手術の内容に含まれることではなく、その後のあなた次第。
それは手術の成否とは別の話だと言うことです。
例えば再発に関してもっとはっきり言えば、お医者さん達は手術をしてもまた元の同じような形に戻っていくことが多い事は、実はよく知っています。
なぜならあなたの外反母趾が生まれついてその形だったわけではなく、年々酷くなってきたと言う事は、あなたの日々の生活の中に「その形になる原因」があると言う事。
そして手術をして形は整えリセットされたとしても、「その形になる原因」が一緒に消えて無くなってくれるわけではありません。
また今までと同じような毎日を過ごす中で、同じ形に戻っていく方がとても多い。
なので良心的な病院では、このことはきちんと教えてくれます。
実際に聖路加国際病院のホームページには、以下のように注意喚起の一文がでています。
また、変形が矯正されても、根本にある外反母趾になっていく傾向がなくなるわけではないため年単位の経過によって症状が再燃することがあります。
聖路加国際病院HPより引用
もう一度お医者さんの考える外反母趾手術の成功を、わかりやすくまとめて言えば、
「手術の後合併症や感染症などが起きず、いくら形が真っ直ぐになり骨がそれで固まれば成功。もしまた同じように元に戻ったら、それはその時考えましょうか」
という感じでしょうか。
少し冷たいように思うかもしれませんが、そうではありません。
病院のお医者さんの担当できる範囲が、そもそもそれぐらいだと言うことです。
手術を選択するのなら、それを理解した上でお願いしましょう。
手術をするとしてもしないとしても、改善のために絶対必要なこと
ということは、外反母趾は形だけを整えても、それだけでは本当には解決していないということになります。
日々の生活の中の「その形になる原因」を改善をしなければ、本質的には治っていないと言うこと。
では「その形になる原因」とは、外反母趾の原因とはいったい何なのでしょうか?
あなたが日々やってしまっている、外反母趾の真の原因とは
外反母趾の原因は、実は足の医療の進んだ国では、すでに明らかです。
実は日本は、足の医療に関してはそれほど進んでいるわけではありません。
足の医療の進んでいる国では、足の医療を学ぶ専門大学や、そこを卒業した足病医と呼ばれる専門医が活躍しています。
それらの国々の医師たちの間では、外反母趾は足の使い方(歩き方)が原因だと認識されています。
詳しくは過剰回内(オーバープロネーション)という、良くない足の使い方。
外反母趾の主原因は遺伝やハイヒール、足指の退化ではないのです。
それらも関係はしていますが、あなたの日常の良くない歩き方こそが、外反母趾を引き起こしていたのです。
ということは本当の意味で外反母趾から解放されるには、結局手術をしようがしまいがどちらにしても、問題である歩き方の改善は必要だということになります
手術なしでも、本当に改善するのか?
ではその過剰回内というよくない足の使い方が原因だとすれば、それを改善できれば外反母趾は、手術をせずとも改善するのでしょうか?
答えはイエス、その通りです。
これは理論的にはそうですよ、という話ではありません。
実際にそうやって改善していくのです。
本当かな?と思われる方もおられるかと思い、いくつか改善例を挙げてみます。
これらは多くの大学病院でも使用しているフットルックという、信頼性の高い計測器のデータです。
特に左足は重度(40度以上)間近の外反母趾だったのが、正常値(15度以下)一歩手前まで大幅に改善。
横幅も1センチ以上も小さくなっています。
この方の場合ご高齢で、時間はかかっているものの大幅に改善。中程度後半だった外反母趾が、同じく正常値一歩手前までになっています。
お二人とも治療に際して、足指には一切触れていません。
このように症状が重くとも、ご年配の方でも大丈夫。
リウマチを併発している方や、杖をついている方でも、症状は改善していっておられます。
そしてこのような改善例は私たちにとっては珍しくなく、公開許可のあるものだけで1000例以上所有しているのです。
これだけ大幅な改善が、歩き方の治すだけで得られるのは、それが外反母趾の根本原因だから。
外反母趾を改善する歩き方
具体的にはどんな歩き方をすれば良いのでしょうか?
まずはその場で行進をするように、足踏みをしてみてください。
そしてその動きのまま、ゆっくり前に出てみてください。
いつもよりももを持ち上げるような、この歩き方でOKです。
「本当にこれだけで?」
「一般的に良いと言われている歩き方と、全然違うけど?」
よく言われますが、大丈夫です(笑)
私は治療の現場でもこれで成果を出していますし、足の骨格の仕組みから見てもこれで正解です。
正確には、これで過剰回内が完全に解消されたわけではありません。
しかしこの歩き方で、その基礎までができていることになります。
やってみると痛みのある方であれば、まずそもそも痛みが軽減していることに気づくはず。
続けていくことで、足の形までがどんどん変わっていくのです。
まとめ
歩き方で外反母趾は改善できる。
それは間違いありません。
手術の失敗を心配するぐらいなら、まずは歩き方の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
これならリスクはありません。
しかし注意点は、歩き方にもいろいろあるということ。
残念ながら、一般的に良いとされている歩き方の多くが問題アリ。
私たちのお教えする歩き方が、このような結果につながっているのは、アメリカ足病医学をもとに考えられた、足にとって自然な歩き方だからなのです。