外反母趾の中にも「軽度」「重度」などの程度の違いがあります。
その判断の基準は「角度」ですが、意外にご自分の「程度(角度)」を把握しておられる方は、少ないようです。
ここでは外反母趾の診断基準である母趾(親指)の「角度」について、また最近注目されている「新しい判断基準」について、詳しくお伝えしていきます。
程度の基準となる角度の測り方
あなたの外反母趾がどの程度の状態なのかは、「角度」で判断されます。
出っ張ってきている親指の付け根の角度を測るのですが、その測り方は2種類あります。
まず、お医者さんがレントゲンなどを使って測る「外反母趾角度(HV角)」という測り方。
写真の様に、レントゲンなどで骨に沿って角度を出すやり方です。
もう一つが皆さんも手軽にできる、「第一趾側角度」という測り方。
測り方は以下のような形。
どちらが正確かは、皆さんは基本的に気にしなくて大丈夫です。
なぜなら角度はあくまで、程度や改善を把握する目安だからです。
そして上の絵にはその診断の基準も出ていますが、これも解釈などによって多少違いがあります。
絵では15度~が外反母趾となっていますが、20度~と言っている先生もおられます。
しかし例えば「17度はセーフかアウトか?」ということではなく、どちらにしても気を付けないといけないという点で同じなので、これもそれほど気にすることはないでしょう。
むしろ、毎回測る基準を同じにすることで、改善していっているのかどうかを確認することの方が重要です。
「指が離れてきた」「真っ直ぐになった」では、わからない
このように外反母趾は、角度が一つの大きな基準です。
しかし多くの方はどちらかというと角度より、「指の開き具合」「重なってきた指の離れ具合」の方を気にし勝ちです。
気持ちはわかりますが、これは危険な判断の仕方。
なぜならまず、指離れたとしても角度は変わっていない、という治り方もあり得るからです。
ちなみに、これは強引に指を広げてみて撮った写真です。
見方によっては真っ直ぐに見えますが、きちんと角度を取ってみると治ってはいないのがわかります。
なので「指が真っ直ぐかどうか」や「指の開き具合」ではなく、角度の方が重要な基準。
そして最近は更に、外反母趾の状態の新たな判断の基準として、足の「横幅」が一番重要なのではないか、と言われるようになってきています。
新しい判断基準「横幅」
外反母趾の改善の基準を測るのに、なぜ横幅が重要なのか?
それは外反母趾の発生の成り立ちを考えれば、すぐにわかります。
左の絵が正常、真ん中の絵が外反母趾です。
外反母趾になった方は、外に向いて重なってくる親指先に目が行きがちです。
しかし外反母趾はこの絵を見ればすぐわかるように、本来親指の付け根が外に広がって、足の横幅が広がっている病気。
それにつれて親指の向きが外を向くのです。
横幅が締まらないと、本当には治っていない
ということは外反母趾の「本当の改善」とは、親指の付け根の位置が締まって元の位置に戻ることのはず。
その結果、親指の向きも治るということ。
しかしもしも外に向いた指を広げること「だけ」をやってしまうと、どうでしょうか?
実際の例でご説明します。
この方は中程度の外反母趾ですが、横幅を測ると、9.48センチでした。
指を広げて治して(?)みましたが、横幅は9.43センチで、ほとんど変わりません。
本当の意味では治っていないことがわかります。
正しい治し方をすると、横幅は8.14センチ!。
1センチ以上も締まって小さくなっています。
もし二番目の写真の様に、足の指を広げて治ったと勘違いしてしまうと、とても危険。
足の骨が横に広がった状態のままだと、足の踏ん張る力などは落ちたままで、不安定な状態になってしまうからです。
また、足の横幅が広がったったままなので、靴選びなどは依然として難しいままになります。
これらの理由で、外反母趾の判断基準は「親指が真っ直ぐか?」よりは「親指付け根の角度」、そして「親指付け根の角度」よりは「足の横幅」が改善しているかがより重要と、みられるようになってきているのです。
横幅が締まって治った具体例(症例写真)
では、「足の横幅が締まって外反母趾が改善する」、そんな治り方は本当に可能なのでしょうか?
こちらをご覧ください。
この女性は右足が6ミリ、左足は11ミリも締まって小さくなっています。
この女性も右足は10ミリ、左足は9ミリも締まって細くなっています。
もちろんそれに伴いどちらの方も、外反母趾の角度も中程度後半が正常値手前まで、大幅に改善しています。
こういう治り方をすれば、足は骨の結合が密になり丈夫で安定。
しかも横幅が細くなっているので、靴を選ぶのも楽になります。
ではこのような「横幅が締まる」という治り方は、どのようにすればできるのでしょうか。
どうすれば横幅が締まって治るのか
横幅が締まることが必要だとわかったからと言って、テーピングやサポーターや包帯などで、締めればよいという訳ではありません。
そのようなやり方をしてしまっても効果が無いばかりか、逆に痛みが出る場合が多いのです。
なぜなら、それは原因無視の強引なやり方だから。
何にでも原因があるように、足の親指の骨が緩み横に広がった原因というものもあるのです。
その原因をきちんと把握し、それに対する対策を打つからこそ元に戻る。
ではその足の骨が緩んだ原因とは何か。
それはあなたの良くない歩き方、患部に負担のかかる歩き方が原因なのです。
歩き方を改善すれば、横幅はどんどん締まる
外反母趾の原因を、いまだにハイヒールや遺伝や足指が弱ったせいだと思っておられる方は、意外に多くおられます。
しかしハイヒールを履かない方や男性もなりますし、進行していくことからも生まれつきの素養だけ、が原因ではないこともわかります。
また足指をよく使うアスリートにも多く見られ、これらでは説明のつかないことから、もっと核心的な原因があることが想像できます。
そして実は外反母趾はその想像通り、あなたの良くない歩き方が原因だと明らかになっているのです。
足の医療は進んでいる国とそうでない国があり、日本は実は後者に分類されるのです。
足の医療の進んだ国では、すでに明らか
足の医療の進んだ国では、専門のカリキュラムを修めた足専門医が存在しています。
そしてそのような専門医の間では外反母趾は、「過剰回内(オーバープロネーション)」というよくない足の使い方が主原因だと、すでに広く知られているのです。
ということは、外反母趾はその良くない歩き方をやっている限りは、どんな対策を取ろうがいつまでも続く。
逆にその問題の歩き方を正すことができれば、それこそが根本的な改善をもたらすということになるのです。
それが本当なのか、そんな歩き方の改善ぐらいで本当に外反母趾が治るのか。
その答えが先ほどの改善例ということです。
あれだけの改善をもたらすのに、私は足の指には触れてもいません。
あのような改善例は珍しくなく、公開許可を得ているだけでも1000例以上保有しております。
まとめ
外反母趾の程度を測る基準は、親指付け根の角度。
これを把握していなければ、改善したかどうかわからないことになります。
また最近は状態を測る基準として、「横幅」という基準が重要視されてきています。
この基準が重要なのは、外反母趾の成り立ちから考えればすぐにわかることです。
横幅が締まった結果、角度も減少する。
そんな正しい治り方は、歩き方を改善することで実現できます。
なぜなら良くない歩き方こそが、外反母趾の原因だから。
原因を取り除くことで、あなたの外反母趾は横幅・角度共にどんどん改善させることができるのです。